経済学には、「合理的経済人」という考え方があります。どんな人かというと、「完全な情報が受け取れる状況のもとで、自分の経済的利益を最大にするにはどうしたら良いかを考え、それに基づいて最適の行動する人間」を指します。
でもこれって、問題を単純化して考えるために経済学が導入した発想で、フィクションの世界のハナシです。実際の人間には血も涙もあり、情に流されたりうっかりミスなど、現実はさまざまです。
最近、Takaさんから聞いたことがあります。
「コンピュータやインターネットが普及した頃から、ほんの数年前までの自分は、まさに合理的経済人を目指していたなぁ。全てはデータ、みたいな感じね。これからは、人の心のうつろひやすさ、儚さ、あと、『ムダ』だよね、、、」と。
だからといって、今ではミスやどんぶり勘定を容認している、というわけではありません。相変わらず非常に細かく、ケチ(笑)で、計算に計算を重ね、年中試行錯誤を繰り返しています。
ものすごく計算されたページ(時にはあえて見た目はカッコ良くしなかったり)を作り出し、検索エンジンでのランキングやアクセスした人たちの反応率を通常の数十倍にまで上げておき、「御社のサービスが素晴らしいからですよ」と、褒めます。当然、クライアントさんは、180%喜んでくださいます。
それでも中には、しばらくすると「あとは自社でやりますから」とメールがあり、一方的に契約を終了するクライアントさんもいます。そういう仕事の仕方をする会社の理念や価値観が、今後も私たち旅行者(消費者)に受け入れられるかどうかは、皆さんも容易に想像できますよね?
積み上げてきたノウハウを惜しみなくページ内に注ぎ、それに対しては多くを語らず、さらに、クライアントさんのことを思い、良くないところや強くないところを補うにはどうしたら良いかといった提案をすると、ことごとく逆ギレされてきた経験が、彼をそうさせるのかもしれません。
「結局はそうやってクライアントさんを試しているワケ?!」と、勘ぐりたくなることもあります。「人の感情まで『完全な情報』の一部なのかな? そこまで計算しているのかな??」と、思うことすらあります。
彼が言う『ムダ』とは、心の余裕だったり、精神的な豊かさだったり、そういうことなのでしょう。データで言うところの『エラー』なのかもしれません。エラーを楽しめる余裕なんて、今の僕にはまだないっす、、、
(Tom Slater/78.4kg) |