昨年3月に火星に到着したNASAの探査機マーズ リコナサンス オービター(MRO)に搭載されている高解像度カメラ(HiRISE)が、火星上空280キロメートルという過去にない低空からとらえた画像が公開されましたが、その公式ページが6月6日にリニューアルされ、文字をクリックして表示される仕組みからサムネイルをクリックするだけで、火星の精細な地形を心ゆくまで閲覧できるられるようになりました。
このマーズ リコナサンス オービター(MRO)は、火星表面をくまなく偵察する周回衛星。主任惑星科学者であるアリゾナ大学所属のアルフレッド マキューエン(Alfred McEwen)博士は、「これらの火星の高解像度画像はわくわくするようなものだ。そして、朝の時間帯だったということを考えると、非常にユニークなものである。MROの最終軌道は、マーズ グローバル サーベイヤや2001マーズ オデッセイと同様、火星の午後の時間帯を周回するものになる。」と、テストデーターを取得した昨年3月23日に述べていましたが、このリニューアルより、1,000枚を超える掲載画像が誰にでも快適に閲覧できるのは、まさに感動的です。
火星の世界地図から画像を探せるページや今週のイメージもあり、マキューエン博士の感動までには至らぬとも、これらの画像が簡単に観られることにより、その感動をわずかながら実感できます。
また、アリゾナ大学UAMARSのホームページでは、『アリゾナ大学が火星へ(The University of Arizona Goes to Mars)』というタイトルで「アリゾナ大学、NASAジェット推進研究所、ロッキードマーチン社、カナダ航空宇宙局は、何世紀もの間、科学者達の間で問われ続けている(火星に生命は存在するだろうか? 今までに存在したのだろうか?)幾つかの疑問を解くために、今年の8月、任務に着手します。」と発表。
これは、火星の地表直下の環境が、微小生命が成育するのにふさわしい環境であるかどうかを調べるために、来年(2008年)春、火星北極域の平原へと着陸を予定しているフェニックス着陸機の打ち上げプロジェクトのことで、この主任研究責任者である、アリゾナ大学のピーター スミス(Peter Smith)博士は「これは私たちの探査における重大な一歩である。我々の熟練した技術者チームは、探査機の組み立てとテストを完了した。このテストにより、私たちの探査機は探査の高度なレベルの要求に合致していることが確認された。」と語っています。
また、NASAジェット推進研究所(JPL)の計画責任者であるレズリー タンパリ(Leslie Tamppari)氏は、「火星の北極域の平原は、次の探査にとって非常に適した場所だ。そして今こそ行くべき時だ。私たちははじめて、火星の氷に直接触れることになる。これは、NASAの『水を追いかける(follow-the-water)』戦略にとっても非常に大きな飛躍になる。着陸機には太陽光が必要だが、ちょうど火星の春が終わった頃に到着し、その後3カ月間の基本探査期間を過ごすことになる。」と語っています。
打ち上げは、最も早いケースで、8月3日の午前5時35分(日本時間同日午後6時35分)を予定しています。
赤い星「火星」の貴重な環境探査が、もうすぐ本格的に始まります。
HiRISE | High Resolution Imaging Science Experiment
hirise.lpl.arizona.edu
NASA - Mars Reconnaissance Orbiter
www.nasa.gov/mission_pages/MRO/main/
AstroArts - アストロアーツ
www.astroarts.co.jp
火星・赤い星へ - 月・惑星へ - 月探査情報ステーション
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