2月17日、クリントン国務長官が「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」を調印するために来日されましたが、外務省のプレスリリースによると、締結の意義として、次のふたつの項目が挙げられています。
(1) 本協定の締結により、多年度にわたる資金拠出を始めとする日米双方の行動が法的に確保され、「ロードマップ」において日米両政府が約束する在沖縄海兵隊のグアム移転の実施が確実なものとなります。このことにより、ひいては沖縄の地元住民の負担の軽減につながることとなります。
(2) 本協定の締結により、上限28億ドルの日本側資金について、米国政府による適切な管理等を確保するための手続等が法的に整備されることとなります。
外務省: 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定の署名について
www.mofa.go.jp/Mofaj/press/release/21/2/1188021_1092.html
今回のこの協定は、当時の麻生外務大臣と額賀防衛長官、アメリカのライス国務長官とラムズフェルド国防長官が、2006年に約束した在日米軍再編に関するロードマップの実現を確実にするためという目的でなされたものです。
で、実際に何を確実にしておきたかったのだろうと考えてみたのですが、日本政府が強調している、前半の「沖縄県民の負担軽減に資する方策」といわれている「在沖縄海兵隊の8000人とその家族9000人(合計1万7000人)の削減」よりも、アメリカとしては、後半の28億ドルを確実なものにしておきたかったのではないかと思ってしまうのですが、皆さんはいかがでしょう。
再編実施のための日米のロードマップ(仮訳)内、
(b) 兵力削減とグアムへの移転
の項には、次のように書かれています。
約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。
外務省: 再編実施のための日米のロードマップ(仮訳) (2006年5月1日付け)
www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/ubl_06/2plus2_map.html
2006年4月28日付概念図
www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/ubl_06/pdfs/2plus2_map.pdf
4月3日、衆議院外務委員会における辻元清美議員の質問で、在沖縄海兵隊のグアム移転に関する実態が明らかにされました。
協定は、海兵隊の実数の削減ではなく、定員の削減。
これに関しては、
2007年11月12日付けの、
メールマガジンの編集後記
www.goguam.com/weekly-guam/guam_news_071112_46.html
www.goguam.com/2007/11/2007111220071118-vol9-no46.html
でも書きました。
現在、在沖縄海兵隊の定員は1万8000人で、その定員を8000人減らして1万人にするというのが、「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」の内容です。しかし、現在の在沖縄海兵隊の人数は1万3000人程度で、実際には3000人ほどの移動。移動する家族も3000名ほど。
約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員とその家族約9000名、合計1万7000名ほどがグアムに移動すると思いきや、実際にはその約1/3の6000名程度。
だからといって、
28億ドルのお金はそのまま。
1/3になるといった話にはなっていません。
2006年5月に日米両政府が合意した、グアム移転のための経費102.7億ドルのうち、日本側が約60%にあたる60.9億ドルを負担することからしたら、為替レートなども考慮すると、円建てで考えたら確かに1/3くらいにはなっています(苦笑)。
アラスカ、ハワイ、そしてグアム、この3地点は、アメリカ(本土を他国の攻撃から守ること?!?)にとって軍事的に重要な拠点になるのかもしれません。
先日も、テポドン2号が日本をまたいでいきました(日本にとってはノドンの方が心配ですよね)。国を守るためにすべきこと。国を守るためなら(戦うのも)仕方がないとかしょうがないとかで、本当に良いのでしょうかねぇ。
民意を反映させることが政府のやること。
だとしたら、みんなで決めたことですからね。
「イヤ、オレは(ワタシは)関係ない」
とかいうのは、やっぱナシっす。
最後に、一冊、本を紹介しますね。
今、戦争について考えることの一つとして
www.pikaru.com/link/1122998.html
三上治さん。
2001年の911よりも前に出された本です。
戦争には「義のある戦争」と「義なき戦争」があるのではない。戦争そのものが「義なきものであり、非行である」とする立場から書かれた本です。
「大義」といえば、
最近では「天地人」ですが、
ヒトをアヤめて繁栄したところで、
人々の心に、徳の川は流れません。
(Tom Slater/77.65kg) |